【財務会計】製造原価の積上

前言

まず、正式説明の前に大雑把に説明すると

原価についてですが、単純に製品の原材料だけを原価とする在外原価と言うものがあります。

でも、これじゃ、材料だけですから製品じゃないですよね。これを製品にするために掛かる費用を足したものが積み上げ原価。

そして、この積み上がるものを細分化して明確化したのが、積み上げ原価方式。

では、何故積み上げ方式をするのかと言うと、コスト管理や営業利益の確保や新製品開発の基礎数字の確定がしやすいからです。

例えば、Aと言う製品。

原材料は、1,000円だとします。これを製品にするのに、加工費が500円、梱包やその他費用が500円掛かったとすると、積み上げた合計原価は、2,000円となります。

この時、同じような新製品Bを作ることになり、原材料を調べたら1,200円だった。と言うことは、あとは、加工費やその他の費用は同じだから、2,200円を原価と設定すれば良いと言うことになります。(簡単に原価設定が可能。)

同様に、大量の注文があった時に、同時に値引きも要求された場合、どこの経費を削減したらどれだけ安くなると言うのが、計算しやすいので、同じ利益を確保しながらも、値引き価格を決めることが出来ます。(値引きはするが、原価も同じだけ下がるから利益は変わらない。)

ここから本題に戻ります。

製造原価の積み上げ計算に必要な投入品目の総平均単価と自工程加工費 【工程ごとに発生する材料費や加工費を積上げ、自工程の製造実績が次工程への投入実績となる】

ころがし法と積上法による製造原価算出

製造原価は三分法により「月初仕掛品+当月製造費用-月末仕掛品」で算出され(会計と在庫の同期方法4種類)、前工程の製造原価を自工程の当月製造費用に振替えて三分法でマルチレベルに製品原価を算出することをころがし法(Rolling costing)といいます。

一方で実際原価計算では「投入品目の月次総平均評価額+自工程発生費用」で算出し、材料から製品に向かって順番に総平均単価を算出し、「(総平均単価x投入実績数量)+自工程発生加工費」で各工程の原価を積み上げていくことを積み上げ法といいます。

ころがし法も積み上げ法も結果的には同じになるので、両者は同義で用いられることが一般的ではないかと思います。

総平均単価は以下の式で計算されます。

総平均単価=(月初在庫金額+当月製造原価)/(月初在庫数量+当月製造数量)

実際原価計算の特徴としては、月初在庫情報を加味して総平均単価で払出原価の計算が可能であることであり、自工程の生産品目の総平均単価が次工程への投入実績の単価に適用されます。

  1. 投入実績数量x総平均単価
  2. 直接労務費(自工程発生原価)
  3. 製造間接費(自工程発生原価)

この合計が当月製造原価となり、これに月初在庫を加味して総平均単価を求め、さらに次工程への投入実績の単価として適用し、最終工程において製品製造原価となります。

average-cost


 

当月製造原価と総平均単価の関係

当たり前ですが「製品製造原価を総平均単価を使って計算する」と言われるのは「製品の総平均単価x製造数」ではありません。

何故なら製品の総平均単価は「月初製品在庫+当月製品製造原価」を元に計算されるものであり、製品製造原価の後に算出されるものだからです。

つまり製造原価算出時に存在する総平均単価は、川下から川上に向かって総平均単価が計算される以上、投入品目の総平均単価だけになります。

総平均単価は費目別に算出され、次工程の投入品目の当期製造原価に費目別に反映されます。

  • 直材総平均単価=(月初直材+当月直材)/(月初数量+当月数量)
  • 直労総平均単価=(月初直労+当月直労)/(月初数量+当月数量)
  • 製間総平均単価=(当月製間+当月製間)/(月初数量+当月数量)

これらの費目別総平均単価も川上に行くにつれ累加されていきますが、自工程で費用が発生していない費目は、前工程の累加原価と同額であるため、費目別発生原価には計上されません。当月製造原価とは各工程の投入品目の発生原価を費目別総平均単価で評価するものです。

総平均単価の費目別積上げ計算

総平均単価の費目別積上げ計算ができれば、使用数量を掛けることにより、自動的に費目別の当月製造原価が算出できます。

当月製造原価と月初在庫金額があってはじめて総平均単価が算出され、総平均単価は次工程の投入実績評価額の基本となります。総平均単価による投入実績評価額と自工程加工費(配賦による)とあわせたものが当月製造原価となり、これを川下(材料)から川上(製品)まで繰り返していくと最終製品の製造原価ならびに総平均単価が求められます。

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総平均単価は費目別に川下から川上に積み上げられ、前工程までの累加額との差額が自工程発生分の総平均単価になります。

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